パソコンを見ながら手元を見るのが、とっても辛いお年頃


左手で電卓をうちながら、右手で筆記をする同僚がいる。
大変効率がよいが、一朝一夕にできる技ではない。
聞けば学生時代に練習したのだという。

わたしも学生時代、英文タイプライターにたいへん苦労した。
大学の講座で、正課とは別に単位にならないタイプ講座があって、同級生の殆どがタイプを打てることを知ったわたしは、若干青ざめて受講したのだ。
タイプに触るのも初めてだったわたしは、「F、G、F、G」「J、H、J、H」と、人差し指の運指からのスタート。なかなかテキスト通りに打てず、講座の先生にあきれられた。
泣きながらタイプに向かう日々。
冬の寒い日に、暖房のないタイプ室に篭って自習し、なんとかタイピングを習得した。
つらかったよ。

という話をかの同僚にしたところ、返ってきたのがこのひとこと。

「タイプライターって、なんですか?」

え。今なんて言った。

「タイプライターって、なんですか?」

そうか。知らないか十代。

エルヴィス・コステロ "Everyday I write the book" 1983
おしまいのほうの歌詞に"with my pen and my electric typewriter"とあるが、最近の若者は、ここで辞書をひくのだね。
コステロといえば、トッド・ラングレンもカヴァーしたこの曲にも、
"she’s my soft touch typewriter. and I’m the great dictator."
という歌詞がある。
エルヴィス・コステロ "Two little hitlers" 1979
この頃のコステロは、タイプライターが似合うな。なんとなく。

思えばわたしも、計算尺を見たことはあるが、使い方は知らない。
先輩の話によく出てくる「タイガー計算機」に至っては、実物を見たことがない。

高野文子 『るきさん』 筑摩書房 1993
るきさんがレセプトを書くために使っている電卓は、プラグにコードを差して電源をとる機種だ。そんな電卓、最近めっきり見ないけれど、確かに昔はあったなあ。
電池式のものも今では稀で、ほとんどソーラーだなあ。

就職したばかりの頃は、帳簿を書くのにまだ、少しだけ算盤を使っていた。
使わないと、使い方を忘れてしまうなあ。

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