don’t trust under 90.

2015年2月8日 TV
「日曜美術館 『行き暮れてひとり ~画家 野見山暁治のアトリエ日記』」 NHK教育


日野原重明氏が新聞連載で、「自分と同年齢かそれより上で、現役の人はいるのだろうか、と思っていたら、画家中一弥氏の存在を知り、意を強くした」と書いていた。

日野原氏、中氏とも、1911年生まれだそうだ。
1911年、明治44年だ。

それより若いと言えば若いが、野見山暁治氏は1920年生まれだそうだ。

昨年放送された番組の再放送。

学業を切り上げさせられて戦地へ赴けば、病で死線を彷徨う。
戦後修行に出たパリでは、妻をひとり看取る。
再婚相手にも先立たれる。

被災地を訪れて、感じた恐怖を語る野見山氏。
さんざん悲しい思い、怖い思いをしているだろうになお、やがてすべて滅びてしまうのではないか、という恐れを感じたという。
ぼんやりとしているうちにひとり残されて日が暮れてしまった、「行き暮れているよう」な感覚である、という野見山氏。

テレ東「美の巨人たち」で藤島武二『黒扇』を取り上げたときの取材風景に、「野見山氏は確かに93歳(当時)だが、時折、青年と話しているような錯覚があった」とある。

人生経験を仔細に記憶していて、その感覚を身近なものとして保ち続けている感性が凄い。
淡々と語り、黙々と制作に励む野見山氏。
自作の赤い鬼の面を被り、「鬼は外」とアトリエに豆をまく野見山氏。

赤いニットにスカル模様のマフラーが、とっても素敵。

コメント