テレビ東京 美の巨人たち 安藤緑山「竹の子と梅」

こどもの頃から、彫刻が苦手だ。

仏像は好きなのだ。
表情が楽しい。

彫刻の色合いが、重い。
質感も重い。
訴えるすべてが、重い。
県立美術館では、せっかくのロダンだが足早に通り過ぎる始末。

木造建築ファンの必携アイテム、モデュロール兄弟を生んだ「美の巨人たち」。
また、昨今の伊藤若冲ブームの火付け役でもある「美の巨人たち」。
美術の知識は皆無なわたくしだが、見た後、なんとなく歴史…じゃなかった、芸術が判ったような気になる。

安藤緑山の作品には、驚いた。
象牙を彫って作られた作品は、野菜や果物。
それも、皮を剥きかけたり割れかけた、蜜柑や柘榴。
本物そっくりに彩色されている。
象牙彫刻、色を付けるのか。

タイトルロールである筍も、本物そっくり。
筍名人も驚いていた。
竹藪ににょきっと生えてきた筍のたたずまいと一緒。

象牙の地の色合いは、まるで骨のようだ。
緑山の作品は、骨格にふっくらと肉付きを与えるように、自然な色彩を施す。
本来の色合いが持つ有無を言わさない高貴な感じが払拭され、なんともいえない人懐っこい感じがある。

伊藤若冲の「果蔬涅槃図」を思い出した。

安藤緑山のことも象牙彫刻のこともなにひとつ知らないが、今回の放送には驚いた。

緑山の人となりはほとんど伝えられいないという。
数日前の夕刊に、小平市の住民投票のことが載っていた。

府中所沢線という幹線道路建設について、計画を見直すかどうかの住民投票が、26日に行われるという。

母校の大学が小平市にある。
大学は府中街道に面していて、その西側に小平中央公園、さらに西側に西武国分寺線鷹の台駅がある。
道路は、公園の東端を通るようだ。

鷹の台駅から大学まで、昼間は公園を突っ切って行く。
夜間は暗いので公園は怖くて通れない。
玉川上水沿いの道を、てくてく歩く。
この道もそんなに明るくはなくて、人通りが少ないと走ったものだ。

おととし、「中村とうようコレクション展」を見に、武蔵野美術大学へ行った。
国分寺駅からバスで行く途中、母校の前を通った。
もっと広い道路だと思っていたが、府中街道は意外に広い道路ではなかった。
脇道に入るととても狭く、踏切などぎりぎりで、東京のバス運転手さんのテクニックを思い知らされた。

幹線道路が作られれば作られたで、便利と感じることもあるだろう。
便利さで、不利益と思ったことなど忘れてしまうのかもしれない。

東京の大学へ入ったはずなのに、野菜の無人販売所があったり、雑木林があったり、東京といってもいろいろなんだなあ、と感じたことを思い出す。
都心から離れていて、国鉄は運賃が高いし西武線は時間が掛かるし、不便だと思ったが、生活しやすかった。
街道に面しているわりに、学内は静かだった。

せっかくの住民投票なのだから有効に機能しますように。願ってやまない。