中学1年当時のわたしは、「ゴダイゴのシングルレコードをたくさん持っている人」だった。


ゴダイゴの"Our decade"(1979)は、わたしが初めて買ったオリジナルアルバムだ。
ちなみに生まれて初めて買ったLPレコードは、「ピンク・レディー ベストヒットアルバム」(1977)である。

"Our decade"には、知っているヒット曲は「はるかな旅へ」1曲しか入っていなかった。
たぶん、当時のわたしは拍子抜けしたんだろう。

このアルバムから、いろいろなことを知った。

「パープルポイズン」という曲は、とっても短いのだけど、歌詞にハイジャック、クーデター、バングラデシュ、という言葉が出てくる。
ホステージ(人質)という言葉も出てくるが、中学1年生だからまだ知らない。
歌詞らしくない言葉だなあ、と思った。

わたしが「花はどこへ行ったの」などのメッセージ性の高い歌や、ウッドストックなんかを知ったのは、この曲よりずっと後だ。

映画「イージーライダー」というものがあるのを知らず、2曲目の同タイトル曲から情景を思い浮かべた。


「人類の進歩と調和」をテーマに行われた日本万国博覧会。70年代はこの催しから始まった。
進歩と調和の実現のため高みを目指すうち、コミュニケーションを失いはじめた、と歌う「プログレスアンドハーモニー」を皮切りに、"Our decade"は、70年代の10年間をふりかえる内容となっている。

希望に満ちたはじまりであったはずなのに、世相や時代の変化に伴う不安感が歌詞には反映されている。


何回も聴いた愛聴盤だが、そのうち、ゴダイゴのタケカワユキヒデのヴォーカルが、癖のない明朗な感じなので、曲調に合わないような気がしてきた。

ほどなくして、「こういう音楽を聴くんだったら、本場のロックを聴けばいいのだ」と思って、わたしは洋楽一辺倒になっていった。

あまり私的な感情を歌わず、大きなことを歌いがちな気がして、ゴダイゴというバンドがなんとなく面白みがないように思い始めた。


"Our decade"を先日、CDで買い直して、聴き返している。

繊細なアレンジを施した、上質なロック・アルバムである。古さは感じない。

呼称は知らないにしても「コンセプトアルバム」だとは思っていたが、ゴダイゴ、今聴くと案外プログレであったよ。

物足りなく思ったヴォーカルは、この声質だからこそ、何度となく聴き返すことに耐えられるのだと思った。
楽曲そのものの持つ感情が、素直に伝わる。

CDのクレジット(字が小さすぎる)を読んで初めて気づいたのが、女性コーラス陣。
ひとりは"Kayoko Ishu"とあるから、伊集加代。
贅沢だ。
ネスカフェは、CMを伊集版へ戻すように。
今のあれはないわ。
もうひとりは、"Sandi A.hohn"とあるが、サンセッツのサンディかな。サンドラ・ホーンですかな。
贅沢だ。

テレビで見てファンになって、ゴダイゴは間違いなくわたしのアイドルだった。
アイドルでありながら30年以上経っても、懐かしい思いだけでなく楽曲が聴けるのは、本当に嬉しいことだ。